作家・講師 吉岡 麻弥
ホームスパン（家庭で作る毛織物のこと）との出会いは、はるか学生時代に遡ります。当時、私は東京文化服装学院テキスタイルデザイン科の学生で、織物・染色・プリントなど、デザイン全般を学んでいました。時を同じくして、板橋区にある東京手織機ではホームスパンの技術を伝承するために社長が自らイギリス研修に出向いておられ、現地の職人から紡ぎの技術を習得されたタイミングで、光栄にも第2期研修生として1年間、社長に師事する機会を得ました。
卒業から約20年間、営業職やクリエイティブ職などにつく傍ら、知人を中心に織物を教えて欲しいという声にお応えして趣味的な教室を運営していました。10年前に事業化し、手織り教室の運営歴は早くも約30年になります。
東京織物機をはじめとする業界の方々とのご縁もあり、この30年の間に様々な道具が集まってきています。染め、紡ぎ、織りの全工程を学べる稀有な場所として、より多くの方に機織りや糸紡ぎを体験していただけるよう、今回、新たにサロンとアトリエを別々に設けることになりました。アトリエは、道具や空間を自由に使えるリピーター様専用の場として開放し、サロンではより専門的に少人数レッスンを続けます。
初めて羊毛に触れるお子さまも、10年20年と通ってくださっている私のサポーター様たちも、どなたも無心になって楽しめる。さまざまな可能性を秘めた羊毛あそびを通して、夢中になることの素晴らしさを少しでも広めていきたい、と考えています。
